2012年2月25日-26日、研修旅行を開催いたしました。
主な行程
- 岩手県関山中尊寺拝観
- 気仙沼商工会議所との懇談会
- 気仙沼市鹿折地区視察
関山 中尊寺拝観 東京はあいにくの雨模様でした。
今回、東京商工会議所足立支部青年部員12名、事務局より2名、小倉英夫足立支部副会長(青年部元幹事長)、伊奈政昭足立支部工業分科副会長(青年部元幹事長)の16名での視察・研修旅行となりました。
東京出発時から降っていた雨は、栃木県に入ったころには雪になっており、岩手県の一ノ関駅はかなりの積雪でした。
ガイドさんによると、近年めずらしい積雪ということで、雪の降る中、中尊寺に参拝しました。通常、バスで上まで行って、歩いて降りてくるというコースらしいのですが、路面が積雪で危険ということで、歩いて上ることに。ただ、雪の中尊寺というのもとてもきれいでした。雪の世界遺産を満喫させていただきました。
ボランティアのガイドさんとともに、気仙沼市内を視察いたしました。
雪の影響
前日の雪により、地面が見えなかったことが私たちの気持ちを少しやわらげてくれたかもしれません。しかしながら、非常に殺風景というか、建物がないというのがこんなものなのか、昨年の3月11日までここに街があったということを聞かされるたびに、一体何からすればいいのか、という気持ちにさせられました。
ちょうど、日曜日ということもあり、地元開催のイベントが開かれていました。そのイベントを見ると、地元の方の「明るさ」「力強さ」「復興への意気込み」のようなものが感じられ背筋が伸びる思いでもありました。
1年たっても、まだ建物が建っていないともいえますが、1年かけてここまで復旧したともいえるでしょう。つまり、「街」が流され、海からごみが流入し、恐らく、地震後、しなければならなかったことはそれらを片付けることだったのではないでしょうか?地震当初、ごみの片付け、それらによるにおい、そして、被害者の方々の捜索と埋葬など、精神的にも、肉体的にもさまざまな苦労があったことでしょう。そんな大変だったであろうことを、地元の方々からのお話の中でほとんど出てこなかったのは意外な感じがしましたが、街や人とお話させていただいていると、それは、「前を向いている」という証拠なのかなと思いました。
視察写真集

支部役職 | 会社名 | 役職 | 氏名 |
青年部幹事長 | 株式会社村松工務店 | 代表取締役 | 村松 実 |
青年部副幹事長 | 株式会社ふそう運搬社 | 常務取締役 | 渡邉 浩 |
青年部副幹事長 | 有限会社テイホク自動車 | 代表取締役 | 小林 満 |
青年部幹事 | 大作輸送株式会社 | 常務取締役 | 福本 憲人 |
青年部幹事 | 株式会社写真の大塚 | 専務取締役 | 大塚 光智 |
青年部幹事 | オリオンズ観光株式会社 | 代表取締役 | 松本 真夫 |
青年部幹事 建設分科会長 |
田中建設工業株式会社 | 代表取締役 | 田中 克己 |
青年部員 | 株式会社野口建築設備事務所 | 代表取締役 | 野口 真史 |
青年部員 | 金子運送株式会社 | 取締役 | 金子 永 |
青年部員 | 株式会社BlueStar | 代表取締役 | 前田 忠 |
青年部員 | 株式会社野口製作所 | 代表取締役社長 | 野口 松一郎 |
青年部員 | 有限会社エー・ダッシュ | 代表取締役 | 山下 忠房 |
支部副会長 | 小倉鉄工株式会社 | 代表取締役 | 小倉 英夫 |
工業分科副会長 | 曙金網産業株式会社 | 代表取締役社長 | 伊奈 政昭 |
事務局 | 東京商工会議所足立支部 | 支部事務局長 | 菊池 圭二 |
事務局 | 東京商工会議所足立支部 | 副主査 | 原田 芳明 |
「震災復興」という言葉で言えば、正直、「復興」が始まっていないのが現状ではないか?そう思わざるを得ませんでした。確かにライフライン等、普段の生活を取り戻しているかのように思える部分もありましたが、これはあくまで「復旧」であり、震災前の生活とは程遠いもののように思えました。
「復興」を遅らせてしまっている要因のひとつに土地の開発制限の問題があります。現実的に新しい建物が作れないというお話がありました。阪神淡路大震災の復興計画でも一部地域は計画的に建物を建築していき成功した例がありましたが、今回の震災は非常に範囲が広く、震災から11ヶ月が経っていますがそういった計画さえも立てられていないようでした。
フェリー乗り場の防波堤は破壊されたまま放置されている。 産業の再開発も進んでいません。
この要因としては、土地開発制限の問題と同時に、沿岸部を中心とした、「地盤沈下」の問題があるようです。これは沿岸の産業にとっては相当な打撃です。沿岸部の養殖産業、フェリー、遠洋漁業等の基地としての機能がまったく戻っていませんし、防波堤の建設をめぐっての議論が進まないため、機能回復の見込みすら立っていないということです。
これらのことは、我々他県の人間はメディアでしか知ることができませんでしたが、実際に見てみると状況はかなり深刻でした。
「復興」が遅れた結果生じてくる問題が、気仙沼から他地域への人口の流出です。これは今後大きな問題になってくるように思われました。
産業が少ない→働けない→仕事を他県・他市に求める→人口が流出する。という悪循環がすでに発生しているとのことでした。
繰り返しになりますが、現地に行って感じたことは、「復興」が始まっていない。ということです。幸いにも気仙沼は高台も多く見られ、万が一、津波の危険がある場合の避難場所は確保できるかも知れないとのことです。高い防波堤をつくることで港としての機能を制限するか、それとも「津波がくることを想定して」街を作り上げていくのか、しっかりと意見を交わした上での「早急な」街づくりが必要ではと感じました。
またそれらを踏まえた上で、我々ができることはまだまだたくさんあるということも再認識させていただきました。
改めて、今回の東日本大震災で被害にあわれた方にお悔やみ申し上げたいと思います。
我々東京商工会議所足立支部(青年部)はほとんどが中小企業です。確かに現状の日本は景気が低迷し苦しい時代ではありますが、我々中小企業ががんばって景気を回復していくことが大きな意味での「復興」につながるのではないかと思いました。
photos:大塚 光智
words:前田 忠